米国南極研究プログラム(U.S. Antarctic research program)を管理する米国科学財団(National Science Foundation:NSF)による委託を受けて外部機関がまとめた調査結果から、同プログラムでは性的ハラスメント及び暴行が蔓延し、南極勤務者らの大半は、雇用主がハラスメントに関する苦情を真剣に受け止めて被害者を保護し、加害者を罰するということはないと考えていることが明らかにされた。本調査対象となったのは、過去3年間に同プログラムの下で南極勤務した者で、科学者の他、調理師・清掃員などといった支援スタッフも含まれる。全体の48%が男性で、リーダー職に就く者は全体の40%であった。これによると、同調査に参加した女性の72%は、本プログラムでは性的ハラスメントが問題と回答し、ハラスメントに関する苦情の取扱については、加害者が責任を問われると考える男性が46%であったのに対し、女性では26%のみであった。同調査では、性的不正行為の件数の特定は行わなかったものの、回答者からは、現状のままでは、女性に参加を勧められないとのコメントもあったという。また、性的ハラスメント問題の多くは、マクマード(McMurdo)観測基地で発生していたが、米国南極研究プログラムに関連するあらゆる施設において、同問題が蔓延していることが明らかになった。本調査結果を受けて、NSF極プログラム局(Office of Polar Programs)ディレクターのロベルタ・マリネッリ(Roberta Marinelli)氏は、現状の改善を誓約している。

 

なお、本報告書は、<https://www.nsf.gov/geo/opp/documents/USAP%20SAHPR%20Report.pdf>からダウンロード可能。

 

Science, Sexual harassment plagues Antarctic research

https://www.science.org/content/article/sexual-harassment-plagues-antarctic-research