米国科学財団(National Science Foundation:NSF)傘下の米国科学工学統計センター(National Center for Science and Engineering Statistics:NCSES)は、2015年~2025年博士号保有者長期調査(2015–25 Survey of Doctorate Recipients longitudinal panel:LSDR 2015–25)の一環として、米国で学位を取得した科学・工学・衛生関連(science, engineering, and health:SEH)博士号保有者の2015年~2019年の就業状況を発表した。本調査は、2015年、2017年、2019年に実施されたもので、これによると、米国大学でSEH博士号を取得した66歳未満のうち、96%が2015年に米国内外で就業していたが、その割合は徐々に減少しており、2019年には92%であった。その他の主な結果は以下の通り。

  • 2009年~2013年に学位を取得したキャリア初期グループが全体に占める割合は約19%(約16万5,000人)。一方、年齢56~65歳のグループは約27%(約23万5,000人)。
  • 米国大学でSEH博士号を得た科学者・エンジニアのうち無職であった割合を性別にみると、女性が4%であったのに対して男性は3%。また、2015年、2017年、2019年の3回に亘って行われた調査において、1回以上失業中と回答したのは、女性が16%、男性は11%。キャリア初期グループの女性に限定すると、10%は2015年もしくは2017年調査時に失業中であったが、そのうち60%が2019年調査時には就業中と回答。一方、キャリア初期グループ男性では、2015年もしくは2017年調査時に失業中と回答した割合は4%で、このうち82%は2019年調査時に就業中と回答。
  • 本調査では、労働セクタを8つ(教育分野2セクタ、産業分野3セクタ、政府分野3セクタ)に分類しており、調査参加者の19%が同期間中に労働セクタを変更。但し、セクタ変更者の40%は、同じ分野内でのセクタ変更。分野を超えた変更が最も多かったのは教育・産業分野間の31%で、政府・産業分野間は18%、教育・政府分野間は9%。

 

National Center for Science and Engineering Statistics, Labor Force Transitions of U.S.-Trained Doctoral Scientists and Engineers: Findings from a New Longitudinal Panel

https://ncses.nsf.gov/pubs/nsf22327