米国科学工学医学アカデミー(National Academies of Sciences, Engineering, and Medicine)は2月23日、国家核安全保障庁(National Nuclear Security Administration:NNSA)からの助成を受けて、同アカデミーの高エネルギー密度科学評価委員会(Committee on the Assessment of High Energy Density Science)が実施した調査結果をまとめた報告書「高エネルギー密度科学基礎研究(Fundamental Research in High Energy Density Science)」を発表した。本報告書は、①米国の主要研究機関における基礎研究への投資の再開、②多様性・公平性・包摂性目標に説明責任を持つ職場文化の改善、③安全保障上のニーズと透明性・共同研究のバランス、などを通じて、高エネルギー密度科学基礎研究から重要な成果を得ることが可能としている。また、研究コミュニティに対し、慣性核融合の基盤となる基礎科学研究の強化、及び、研究施設の維持・改善が必要とした。さらに、高エネルギー密度科学に携わる人材の能力強化も必要とし、NNSAに対して、より良いキャリアパス構築のために国内外での共同研究・メンターシップ・アウトリーチを促進すると共に、インターンシップ、研修生制度、ポスドク・客員教員プログラムを活用すべきと提案した。本報告書が提示する高エネルギー密度科学振興に向けた主な提案事項は以下の通り。
• NNSAは、他の政府省庁と協力し、今後2年間をかけて、機械学習・人工知能ツールを含む高エネルギー密度科学向けの高性能コンピューティング戦略を開発。
• 非機密研究からのデータ共有拡大を通して、産学連携共同研究を促進。
• NNSAは、コンピューティング・診断・ターゲットなどといった重要な能力に関する産業界との協力についてのロードマップを作成。

なお、本報告書は、<https://nap.nationalacademies.org/read/26728/chapter/1>から閲覧可能。

National Academies of Sciences, Engineering, and Medicine, Investments in High Energy Density Science Could Help Address Significant National Needs, Says New Report
https://www.nationalacademies.org/news/2023/02/investments-in-high-energy-density-science-could-help-address-significant-national-needs-says-new-report