教育省(Department of Education)は7月26日、営利大学に対する新たな説明責任基準を含む規則制定案を発表した。本規則案の1つ目の主要条項は、営利大学の収入の最低10%を連邦政府資金以外とすることを定めた「90-10ルール(90-10 rule)」に関するもので、復員軍人援護法(GI Bill)の下での奨学金などを含む退役・現役軍人を対象とする連邦政府からの学資援助を、連邦政府資金に含めて計算することを営利大学に義務付けている。現行規則では、連邦政府資金として取り扱われるのは高等教育法第4条(Title IV)の下での連邦学資援助に限定され、退役・現役軍人対象の奨学金は連邦政府資金に含められていなかったため、退役・現役軍人を対象とした営利大学による不正勧誘行為が問題視されていた。教育省は、2019-20学年度のデータに基づくと、新規則の下では営利大学92校が「90-10ルール」を充足せず、2年連続でこの状態が継続された場合はTitle IVの下での連邦学資援助受給資格を喪失する可能性があるとしている。2つ目の主要条項は、営利大学から公立・非営利私立大学への法人格変更に関するもので、営利大学の元オーナーが、当該営利大学を買収する非営利大学組織に関与することを禁止している。2020年に政府説明責任局(Government Accountability Office:GAO)が実施した分析によると、2011年~2020年に非営利大学に移行した営利大学59校のうち、約3分の1は営利大学元オーナーが買収側組織に関与しており、新規則は内部関係者による関与を排除することになる。3つ目の主要条項は、教育省が認定した刑務所教育プログラムに参加する全ての受刑囚に対して、連邦奨学金「ペルグラント(Pell Grant)」受給資格を付与するというもので、これにより、ペルグラント受給資格を持つ受刑者は、教育省が2015年に実験的に開始した「セカンドチャンス・ペル(Second-Chance Pell)」参加者だけでなく、教育省が認定した刑務所教育プログラム在籍者にも拡大されることになる。これらの規則案は連邦官報(Federal Register)にて公示予定で、公示後30日間のパブコメ受付期間が設定される。教育省は、2023年7月1日までに新規則を施行するため、最終的な規則案を2022年後半までに決定する見込みである。
なお、連邦官報公示前の規則制定案は、<https://www2.ed.gov/policy/highered/reg/hearulemaking/2021/nprm2preambelregfinal.pdf>からダウンロード可能。
Department of Education, Education Department Releases Proposed Regulations to Protect Veterans and Service Members, Increase College Oversight, and Increase College Access for Incarcerated Individuals
Inside Higher ED, For-Profit Accountability and Pell Grants in Prisons
https://www.insidehighered.com/news/2022/07/27/new-regulatory-changes-proposed-education-department
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