米国科学工学統計センター(National Center for Science and Engineering Statistics:NCSES)は、米国在住の博士号保有科学者・工学者が新型コロナウイルス感染症パンデミックから受けた影響に関する報告書を発表した。米国大学で科学・工学・衛生(science, engineering, or health:SEH)分野の研究博士号を取得した研究者は、2021年に全世界で118万5,750人と推定されており、このうち102万3.650人(86.3%)は米国在住者で、2019年から1.5%増(米国外在住者は同15.9%増の16万2,100人)となる。主な結果は以下の通り。
- 米国大学でSEH博士号を取得した米国在住科学者・エンジニアの失業率をパンデミック前後で比較すると、パンデミック前の2019年は4%であったのに対し、パンデミック後の2021年は1.6%。一方、米国在住大学卒業者全体の失業率は、2019年が2.5%であったのに対して2021年は4.5%。米国民全体での失業率は、2019年が3.8%で2021年が6.2%。
- パンデミックが収入に及ぼした影響に関しては、米国大学でSEH博士号を取得したフルタイム勤務の米国在住科学者・エンジニアの9%が2020年の収入に影響なしと回答したのに対し、12.8%は減少、5.3%は増加と回答。一方、パートタイム勤務の場合、パンデミックによる影響なしと回答したのは全体の68.3%で、25.6%は減少と回答。
- パンデミックにより年収が減少したと回答した科学者・エンジニアの平均減少額は、フルタイム勤務者が1万ドル、パートタイム勤務者が1万5,000ドル。平均年収は、フルタイム勤務者が12万5,000ドルであるのに対し、パートタイム勤務者は6万5,000ドル。
- パンデミックにより年収が減少したと回答した科学者・エンジニアの平均減少額を事業セクタ別にみると、教育セクタが5,000ドル減であったのに対し、政府セクタは1万ドル減、ビジネス・産業セクタは1万9,000ドル減。
National Center for Science and Engineering Statistics, U.S. Residing Doctoral Scientists and Engineers Report Modest Professional Impacts from the Coronavirus Pandemic: Findings from the 2021 Survey of Doctorate Recipients
https://ncses.nsf.gov/pubs/nsf23318
- 投稿タグ
- FY2022