バイデン大統領は5月12日、世界新型コロナウイルス感染症サミット(Global COVID-19 Summit)において、低・中所得国において新型コロナウイルス感染症のワクチン・治療薬・診断を利用しやすくするために、国立衛生研究所(National Institutes of Health:NIH)で開発された11の医療技術ライセンスを特許プールに含めることに米国政府が同意したことを発表した。米国政府は、連邦助成受給研究の下で発明された医療技術を、世界保健機関(World Health Organization:WHO)が管理する新型コロナウイルス感染症技術アクセスプール(COVID-19 Technology Access Pool)に提供することになる。WHOはその後、ライセンス権を非営利機関の医薬品特許プール(Medicines Patent Pool:MPP)に委譲し、MPPが世界中で販売可能な製品製造を目的とした当該技術の使用に関心のある製造業者と交渉する。MPPは、後発開発途上国の企業が支払う特許使用料を非常に低額もしくは無料とすることができる製薬企業と契約を締結することになる。但し、ワクチンを始めとする製品製造においては、複数の特許保有者によるライセンシング同意を必要とすることが多いため、NIHのポートフォリオに含まれる特許ライセンスはその一部にすぎない可能性もある。

 

Science, ‘A pretty big deal’: U.S. makes COVID-19 technologies available for use in developing countries

https://www.science.org/content/article/pretty-big-deal-u-s-makes-covid-19-technologies-available-use-developing-countries