米国科学財団(National Science Foundation:NSF)傘下の米国科学工学統計センター(National Center for Science and Engineering Statistics:NCSES)と国立衛生研究所(National Institutes of Health:NIH)が資金を拠出して実施した「2021年科学工学大学院生・ポスドク研究者調査(2021 Survey of Graduate Students and Postdoctorates in Science and Engineering:GSS)」の結果、2021年に科学・工学・衛生(SEH)分野専攻で大学院に入学した学生数は、修士・博士課程共に過去最多であったことが明らかにされた。2021年のフルタイム修士課程在籍学生数は28万7,022人、同博士課程在籍学生数は25万6,980人で、2020年からの増加率はそれぞれ44.3%と13.4%であった。これに対し、ポスドク研究契約締結者数は、2020年から3.6%減、2017年から2.2%減となっている。その他の主な結果は以下の通り。
• 学生ビザを保有するSEH分野専攻大学院留学生のうち、フルタイム修士課程在籍者数は2020年から2021年で42%増、フルタイム博士課程在籍者数は同5.6%増。また、新入生に限定すると、修士課程在籍者数は189.6%増、博士課程在籍者数は42.7%増。但し、2017年~2021年の5年間では、フルタイム博士課程学生数はほぼ横ばいで、フルタイム・パートタイム修士課程学生数及びパートタイム博士課程学生数は減少。
• 米国市民権・永住権を保有するSEH分野専攻大学院生数は、2020年から2021年で、修士課程・博士課程在籍者ともに増加。また、フルタイムの新入生に限定すると、修士課程在籍者数は3.5%増であるのに対し、博士課程在籍者数は0.8%減。
• フルタイムの男女別にみると、女子大学院生数は、修士課程が8.1%増で博士課程が4.8%増。一方、男子大学院生数は、修士課程が4.5%増で博士課程が0.2%増。
• 人種別にみると、ヒスパニック系においてはフルタイム修士課程在籍者数は10.1%増で、博士課程在籍者数は8.9%増。黒人大学院生ではそれぞれ5.9%増と8.7%増。アジア系大学院生ではそれぞれ17.1%増と8.9%増。一方、白人大学院生は、それぞれ4.4%増と0.2%減。
• SEH分野専攻全体では修士課程在籍者数が2020年から12.6%増で、2017年からは23.3%増。科学分野は2020年から14.2%増、工学分野は同10%増、衛生分野は同9.4%増。中でもコンピュータ・情報科学分野専攻の修士課程在籍者数は、2020年から26.7%増で増加率が最大。一方、博士課程在籍者数は2020年から3.7%増で、科学分野は3.7%増、工学分野は2.3%増、衛生分野は8.8%増。

National Center for Science and Engineering Statistics, 2021 Graduate Enrollment in Science, Engineering, and Health Fields at All-Time High as Postdocs Continue to Decline
https://ncses.nsf.gov/pubs/nsf23311