全米大学実務者協会(National Association of College and University Business Officers:NACUBO)は、教員保険年金協会(Teachers Insurance and Annuity Association:TIAA)と共同で実施した「2022年NACUBO-TIAA大学基金調査(2022 NACUBO-TIAA Study of Endowments)」の結果を発表した。これは米国高等教育機関678校の大学基金及び関連財団について、財務・投資・ガバナンス方針及び実務を分析したもので、2022学年度(2021年7月1日~2022年6月30日)を対象としている。主な結果は以下の通り。
• 本調査に参加した大学678校の2022学年度末の大学基金市場価格総額は8,070億ドルで、2021学年度末から約4%減。大学基金平均値は12億ドルで、中央値は2億340万ドル。回答した大学の半数以上は大学基金が2億5,000万ドル未満で、市場価格総額の84%は資産10億ドル以上の大学基金のもの。また、資産10億ドル以上の大学基金の市場価格は前学年度から3.8%減。
• 2022学年度の12カ月間での大学基金の平均利益率はマイナス8%で、2021学年度から30.6ポイント低下。実績が最高であったのは資産10億ドル以上のコホートで、平均利益率はマイナス4.5%。一方、最低であったのは資産2,500万ドル未満のコホートで、平均利益率はマイナス11.5%。
• 2022学年度の大学基金による支出総額は258億5,000万ドルで、前学年度の238億9,000万ドルから増加。258億5,000万ドルの内訳は、学資援助46%、学術プログラム・研究15.6%、基金から支援を受ける教員11%、大学キャンパス運営・維持管理10%、その他17%。また、2022学年度の支出率は平均4.17%で、前学年度の4.79%を下回る。
• 2022学年度末時点での資産配分は、公開株式(米国内外を含む)28%、非公開株式・ベンチャーキャピタル30%、市場性オルタナティブ資産17%、債券11%、実物資産12%、その他3%。
• 大学の18%が投資活動に責任ある投資基準を採用し、さらに18%が採用を検討中。投資ポートフォリオ・投資計画に責任ある投資の導入・拡大を検討中の大学基金の約24%は、多様性・公平性・包摂性を重視する度合いが高くなったためと回答。
• 全体の86%超は、環境・社会・ガバナンス(ESG)原則へのコミットメントを投資計画に含んでおり、前学年度の約80%から増加。

National Association of College and University Business Officers, In Challenging Year, Higher Education Endowments See Declines in Returns and Values but Boost Overall Spending, NACUBO-TIAA Study Finds
https://www.nacubo.org/Press-Releases/2023/Higher-Education-Endowments-See-Declines-in-Returns-and-Values-but-Boost-Overall-Spending