米国科学工学医学アカデミー(National Academies of Sciences, Engineering, and Medicine)は9月29日、報告書「米国の技術的優位性の保護(Protecting U.S. Technological Advantage)」を発表した。本報告書は、科学技術における米国の世界的リーダーシップを維持するために連邦政府が講じるべき様々な対策を提案している。特に、同報告書は、政府に対し、競合国による特定技術へのアクセスを封じるという従来の手法を、米国イノベーション能力を保護するリスク管理アプローチに転換すべきとしている。具体的な提案事項は以下の通り。
• 大統領は、大統領令を通して、基礎研究は規制なく行われるべきであることを米国の政策として明言。また、大統領府科学技術政策局(White House Office of Science and Technology Policy:OSTP)に対し、連邦省庁と協力して、大統領令発表から120日以内にオープン研究及び規制を含む研究環境の基準を定義するよう指示。
• 米国科学財団(National Science Foundation:NSF)は、米国の技術イノベーションリーダーシップに必要な、科学・研究・工学・イノベーションにおける最高の人材を育成・招致・保持する米国イノベーションシステムの要素を調査し、報告書を180日以内に作成。また、OSTPは、この結果に基づき、連邦研究関連省庁、国土安全保障省(Department of Homeland Security)、国務省(Department of State)と協力して、政策・プログラムを通した科学技術リーダーシップ促進国家戦略を策定。
• 国家安全保障会議(National Security Council)、国家科学技術会議(National Science and Technology Council)、国家経済会議(National Economic Council)は、米国の技術リーダーシップ及びその他の国家的関心事について、戦略的重要性への脅威もしくは脆弱性を特定・評価する省庁間プロセスを作成・主導。
• 国家安全保障会議、国家科学技術会議、国家経済会議は、戦略的に重要なプラットフォームの特定と協調的リスク管理戦略開発に向けた新たな政策枠組みを共同で作成。

なお、本報告書は、<https://nap.nationalacademies.org/read/26647/chapter/1>から閲覧可能。

National Academies of Sciences, Engineering, and Medicine, Maintaining U.S. Global Leadership in Science and Technology Requires Greater Focus on Strengthening Innovation, Not Solely on Restricting Access to Specific Technologies
https://www.nationalacademies.org/news/2022/09/maintaining-u-s-global-leadership-in-science-and-technology-requires-greater-focus-on-strengthening-innovation-not-solely-on-restricting-access-to-specific-technologies