政府説明責任局(Government Accountability Office:GAO)は7月28日、連邦助成研究の信頼性向上のための戦略を調査した報告書「研究信頼性:より強力な研究実践促進に向けて連邦政府による対策が必要(Research Reliability: Federal Actions Needed to Promote Stronger Research Practices)」を発表した。GAOは、国立衛生研究所(National Institutes of Health:NIH)、米国科学財団(National Science Foundation:NSF)、及び、米航空宇宙局(National Aeronautics and Space Administration:NASA)から助成を受給する研究に関し、①連邦研究助成プロジェクトの厳格性と透明性を促進するために連邦省庁が取れる対策、②厳格性・透明性向上のために連邦助成提供省庁が講じる対策の程度、を調査した。その結果、①に関しては、専門家から、1)研究計画共有手段として研究着手前に事前登録を研究者に義務付けることにより、研究の厳格性・透明性向上は可能、2)連邦省庁は、研究データを保存するデータリポジトリの基準向上、否定的な研究結果の発表奨励、統計分析・研究計画における訓練などを通した支援が可能、などが提案された。また、②に関しては、NIH、NSF、NASAは、いずれも研究の厳格性・透明性を促進・支援する対策を講じているものの、研究の厳格性確保において、助成申請提案書審査及び論文発表前ピアレビュープロセスに大きく依存しており、改善に向けた戦略特定支援を目的とする助成研究の厳格性・透明性評価は行っていないことが判明した。これらの結果を受けて、GAOは、調査対象となった3省庁に対し、提案事項をそれぞれ2項目ずつ提示した。NIHとNSFは、GAOの提案に同意したのに対し、NASAは一部にのみ同意している。

 

なお、本報告書は、<https://www.gao.gov/assets/gao-22-104411.pdf>からダウンロード可能。

 

Government Accountability Office, Research Reliability: Federal Actions Needed to Promote Stronger Research Practices

https://www.gao.gov/products/gao-22-104411