ローレンス・リバモア国立研究所(Lawrence Livermore National Laboratory)ポスドク地球科学研究員のクリスティン・イーフェン・チェン(Christine Yifeng Chen)氏が主導する研究チームは、1996年~2019年の間に米国科学財団(National Science Foundation:NSF)に提出された助成申請書100万件のデータを含むNSF年次報告書を分析し、オープン科学センター(Center for Open Science)のウェブサイトに分析結果を掲載した。これによると、白人が主任研究員(PI)を務める研究プロジェクトは、非白人PIが主導する研究プロジェクトと比較して、採択率が顕著に高いことが判明した。NSF助成の競争率は高く、上記期間の採択率は22~34%であったが、人種別にみると、白人PIの採択率は非白人PIよりも常に高かったという。例えば、2019年のNSF助成採択率は、全体で27.4%であったが、白人PI主導プロジェクトの31.3%が採択された一方、アジア系PI主導プロジェクトの場合は22.4%と顕著に低く、黒人PI主導プロジェクトも26.5%であった。また、白人PI主導プロジェクトの採択率は全体の平均採択率を常に上回っており、全体採択率平均との差は、1999年には3ポイントであったものが2019年には14ポイントとなり、格差が拡大していることも明らかになった。

 

Science, NSF grant decisions reflect systemic racism, study argues

https://www.science.org/content/article/nsf-grant-decisions-reflect-systemic-racism-study-argues