米国科学財団(National Science Foundation:NSF)は、2020年度におけるNSFの助成審査プロセスを分析した報告書「実績評価プロセス:2020年度ダイジェスト(Merit Review Process:Fiscal Year 2020 Digest)」を発表した。これによると、2020年度にNSFが助成審査を実施した提案書は4万2,723件で、同年度の採択率は28%となり、前年度の26%を上回った。また、提案書数も増加したが、これについて、NSFの政策決定機関である米国科学委員会(National Science Board:NSB)は、複数のプログラム局において助成申請提出期限を設定しない方針の継続・拡大が行われたことも影響したとし、NSFにおける提案書の受領管理及び助成付与率の向上を称賛している。さらに、採択率が約30%であることは、研究コミュニティの長期的健全性に好影響を及ぼすとしながら、NSFが付与した多数の「迅速対応助成(Grants for Rapid Response Research:RAPID)」は、新型コロナウイルス感染症パンデミック関連の研究に向けた助成であったことを指摘している。その他の主な内容は以下の通り。

  • 2020年度にNSFが審査した提案書数は合計4万2,723件で、2019年度から4%増。
  • 2020年度のNSF助成付与件数は1万2,168件で、2019年度から925件増。
  • 2020年度にNSFが審査した提案書の約82%は研究提案書。
  • 過去10年間(2010年度~2019年度)のNSFによる採択率は19~26%。
  • 2020年度にNSF助成を受給した研究プロジェクトのうち、主任研究員(PI)が学位取得後10年以内のものは全体の25%。
  • 2020年度の1件当たりの受給助成平均額は19万4,323ドル。

 

なお、本報告書は、< https://www.nsf.gov/nsb/publications/2021/merit_review/FY-2020/nsb202145.pdf >からダウンロード可能。

 

National Science Foundation, NSF Dissects Outcomes of Grant Review Process

https://www.nsf.gov/nsb/publications/2021/merit_review/FY-2020/nsb202145.pdf